卵1パックの値段は様々。その価格差は〇〇〇の違いだった!

卵10個入りパック

 

みなさんはスーパーで卵を買う時、何を基準に選びますか?

1パック(10個)200円の安価なものから、1,000円以上する高価なものまで価格は様々ですよね。

とあるサイトによると、日本における卵1パックの平均価格は220~230円という情報(※2019年現在)も。

「完全栄養食品」そして「物価の優等生」と呼ばれ、栄養満点でいつでも安く手に入れることのできる鶏の卵だからこそ、どの家庭においても料理に使う頻度は高いのではないでしょうか。

となると、1パックに掛けるお金は少なく済ませたいし見た目では「殻の色が白か茶色か」ぐらいしか違いが分からないからと、ついつい安い方を選んでしまいがちですよね。

私もそうでした!真実を知るまでは…。

 

実は先日、とある養鶏場にお邪魔する機会があったのです。山麓を掛け回る鶏たちにキャベツをやったり、卵を使った料理を学んだり、産みたての卵をたまごかけご飯でいただいたりする楽しいイベントでした。

そこでは卵の直売もしていて、スーパーに並ぶそれよりもかなり高価だったため一瞬怯んだのですが、今まで食べたことがないような美味しい卵だったので意を決して2パックも買って帰りましたよ!(ドヤ

黄身も白身もぷるんっぷるんで、卵臭さが無く、素人にもその質の良さはわかるほど。殻がとっても硬くてなかなか割れないのにも感動しました。

 

そんなこんなで、ふと、同じ「鶏の卵」であるのに、高い卵はなぜ高いのか?安い卵はなぜ安いのか?その値段の差って何なのよ?と言う疑問が湧き、沢山のネット情報を読み漁るに至ったのです。

ネット情報だけでは物足りない私に匿名でお話を聞かせてくださった養鶏家のオーナー、国民生活センターや北海道立消費生活センターが行った試験結果に関する文献、養鶏家のウェブサイトからの情報が大変参考になりました!

ネット情報の参照元は全て記事の最後にまとめてありますので、よろしければご覧ください。

 

※当記事内での「高い卵」とは1パックおよそ500円以上のあまり一般的ではないと思われる価格帯のものを指します。

200円くらい~300円前後の価格帯の卵の中での違いは、ちょっとだけお高い、付加価値のついた「特殊卵」って?という項目をご覧ください!

 

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卵の値段の差=養鶏コストの差

走りまわるニワトリ

初っ端から記事タイトル〇〇〇の解答ですが、1パック200円と(少し極端ですが)1パック1,000円の卵の価格差はズバリ「養鶏に掛かるコスト」の違いです。

高い卵と安い卵の養鶏コストに大きな違いがあるのはこの2つ。

  • 飼い方
  • エサ

昭和の頃はそれぞれの家の庭で鶏を飼って卵を産ませていたと聞きますが、現代ではそんな光景を見掛けることがほとんどないですよね。

イマドキの養鶏事情はどうなっているのでしょう?

高い卵はどうつくられ、安い卵はどうつくられるのでしょう?

 

飼い方とエサ。二つのポイントを押さえながら解説していきます。

 

高い卵はこうつくられる!

自由に遊ぶ鶏

飼い方:コストが掛かる平飼い、放し飼い
  • 広めの鶏舎で少数の鶏がのびのびと運動
  • 日光浴や砂浴びをして生活
  • 自然環境の中で美味しい空気を吸い、ミネラルたっぷりの沢水を飲む
  • 鶏舎の地面にはわらが敷いてあり、そのうえに鶏が糞をするが、鶏達が足でかき混ぜることにより微生物の活動が盛んになって発酵するため、ほとんど臭わない
  • 緑を絶やさないよう遊び場を管理するためコスト負担が大きい

 

 

エサ:コストが掛かる自家配合飼料
  • 美味しさ、栄養価、安全性を重視
  • 砕米、米ぬかを主体としたEMの発酵飼料、無農薬牧草
  • 鶏たちの好物である緑の野菜をたっぷり食べる
  • 発酵飼料は、アルカリ飼料なので体液を弱アルカリ性に保つ為に鶏の抗病力が増し、ワクチンや予防薬を使用する必要がなくなる

 

 

そう、私たちが持つ養鶏のイメージって、まさにこれではないでしょうか!

自然の中で自由に生活していれば、それだけで美味しい卵が産まれそうですよね。

こういった飼い方をするのはおもに6個で350円以上、10個で500円以上する卵を卸している養鶏家

 

安い卵はこうつくられる!

ケージ飼いの鶏

飼い方:低コストなケージ飼い(ウィンドレス鶏舎飼い)
  • 狭い空間に何羽もの鶏が入れられる
  • 身動きが取れないためストレスが溜まる
  • 日も浴びず外気の遮断された工場のような環境
  • 鶏舎には糞が溜まり、悪臭がたつ
  • ストレスや運動不足から病気にかかりやすいため、ケージ飼いの鶏は定期的に抗生物質を飲まされ、ワクチンやホルモン剤を頻繁に打たれている
  • 餌は自動運搬、産んだ卵はベルトコンベアーで集められるため人手が必要なく、あまりコストは掛からない

 

 

エサ:低コストな工場配合飼料
  • 高タンパク質の工場生産の配合飼料にビタミン,カルシウム等の添加物を配合
  • 生ぬか類や緑餌はほとんど与えられない
  • 工場配合された飼料にはさまざまな薬剤が添加される
  • 遺伝子組み換えのトウモロコシが入っていることも多い

 

この環境はかなり衝撃的ではないでしょうか…。

このような飼い方をしているのは、おもにスーパーに10個で200~300円位の卵を卸している鶏卵業者

悲しいかな、これが今の日本において大多数の鶏卵業者が行っている極めてスタンダードな養鶏方法なのだそうです。

直接日光を浴びることは無く、窓の開け閉めや電球で鶏舎内の光量調節を行っているそうで、また、エサも鶏の健康を考えているようには思えず全てはコストを掛けずたくさんの卵を産ませるためという感じがしてなりません。まるで工業製品のよう。

鶏は素直な性質の生き物で、食べたものがそのまま卵に移行しやすいそうです。

工場生産の、添加物・薬漬けのエサを食べている鶏が産んだ卵…あまり食べたいとは思えません。

 

 

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ちょっとだけお高い、付加価値のついた「特殊卵」って?

卵黄身の比較

普通の卵に「黄身が濃い」「ビタミン強化」などの付加価値を持たせたものを「特殊卵」と言います。

卵は普通の卵のままで他に類を見ないほど栄養バランスのとれた食品なのですが、鶏卵業者はなんとか自社の商品を選んでもらおうと消費者の好みに合わせた特殊卵を開発します。

が、しかし!

公的機関の調査(国民生活センター、北海道立消費生活センター)によると、特殊卵と普通の卵では栄養価はさほど変わらないことが明らかになっています。

あえて特定の、しかも普通の食事で足りているとされる栄養素だけを強化すると謳う特殊卵について、懐疑的・否定的な意見も多いそうです。

 

▲黄身が濃い(=味が濃厚?)

⇒黄身の色は与える飼料に色素を混ぜれば濃くすることができ、調査では味の評価と脂質量は相関関係が認められなかった。

 

▲殻が茶色い(=味わい深い?)

⇒茶色い鶏は茶色い殻の卵を産み、白い鶏は白い殻の卵を産む。茶色い鶏は餌を多く必要とする一方で産卵数は少ないという理由から、茶色い殻の卵は白い殻の卵に比べると価格が少し高くなる。

 

▲栄養強化(=身体に良い?)

⇒餌に合成ビタミン・海草粉末・ニンニクの絞り粕などを添加して、ヨード(ヨウ素)やDHAやビタミンなどの含有量の数値をコントロールしているが、それらは現代の一般的な食事から十分補えていると考えられており、また含まれる量も極微量なので、摂取することで健康を増進させるというほどの効果はない。

 

これが業者が躍起になっている「付加価値づくり」の実態です。

本当の意味で質の良い卵とは何なのか…考えさせられますね。

 

おわりに

白い卵の列

高い卵と安い卵の価格差とは、鶏の飼い方とエサの質によるコストの差であると言うことをご理解いただけたかと思います。

鶏の健康をしっかり管理し良質なものを食べさせるには、養鶏工場のケージ飼いと比べて大変な手間とコストが掛かり、おのずと販売価格は高くなってしまうというわけです。

鶏が適度な運動をし、ストレスを溜めず、鶏自身の健康のために良いエサを与えられていれば自然と美味しい卵は産まれるものなのですね。

 

今回、自分の体験を通じてそこそこ深く掘り下げたことで、スーパーに並んでいる同じ価格帯の卵のほとんどは、質に関しては差が無いと言って良いのでは、という考えに至りました。

今では20円~30円の卵は買っていません。飼育方法が明記されていて、且つ一個あたり50円以上の価格の卵を選んでいます。今後もしお財布の事情などでどうしても安い卵を買わなくてはいけないようなことがあれば…最安のものを買うか、卵を食べること自体を諦めるという選択をするかも知れません。

 

消費者それぞれが価格や、「なんとなく良さそう…」という曖昧なイメージで卵を選ぶのをやめませんか?

特殊卵に+αのお金を払う価値があるのかどうか。

どのように育ち、どんなものを食べている鶏が産んだ、どんな卵を食べたいか。或いは愛する家族に食べさせたいか。

口にする頻度が高いものだからこそ、今一度考えてみると良いかもしれません。

 

今回参考にしたもの

●特殊卵の比較テスト結果-栄養成分や機能性をうたった鶏卵-/独立行政法人国民生活センター

タンパク質、脂質ともに普通卵と大差なし~特殊卵の栄養テスト~/北海道立消費生活センター

にわとり屋が教える良い卵の選び方/たまご園の日記

養鶏学/たまご博物館

 

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コメント

  1. たまんぷ より:

    1950年代のゲージ飼いと配合飼料が普及する以前の方式で飼ってるニワトリからの卵であるなら、今日現在「2017年」で生産者出荷額一個500~700円位になるであろうと思います。
    では一個800円で引き取るから是非生産して下さいと依頼されたら、私ならなんと返答するかですが、答はノーと言わざるを得ない。
    フスマ、とうもろこし、魚紛?、カキガラ、葉野菜、水。
    土が有り、藁が有り、棚や止まり木が有り、巣が勝手に作れる広さ3坪なら高さ一間半の風通しの良い小屋に10~15羽くらいかな。
    面倒だが時々屋外に出す、などで飼う。
    00日雛で仕入れ可愛がって育て、成育してからのケンカの始末、鶏糞の回収。
    産まなくなっても8年以上飼い出来るだけ天寿まっとう。
    こういう方式になるとこの値段の話
    です。
    1950年代の出荷額一個10円、盆クリスマス正月のピークで25円東京相場でした。参考までに。

    • アバター画像 ちゃあ坊 より:

      たまんぷ様

      コメントありがとうございます!

      出荷額が1個500~700円ですか?1パック(10個)ではなくて?
      卵を産まなくなっても変わらず良い条件で飼い続けると、その値段になってしまうと言うことなのでしょうか…?

      私が実際に何度か伺い卵を購入した養鶏家さんの卵は
      1個62円、1パック(10個)620円で販売されています。

      放し飼いで飼料にもこだわり、清潔にメンテナンスされた緑の多い場所で
      のびのび飼われている鶏たちはとても幸せそうに見えました。

      たまんぷ様も日本においては希少となってしまった「愛鶏家」さんでいらっしゃるのでしょうか(^^)
      愛情をかけられ、美味しいものを沢山食べてのびのび育った鶏さん達の卵は、本当に美味しいですよね。

      そのような卵を買い求める人が1人でも増えますように
      そして頑張る愛鶏家さん達が報われますように、と願いを込めて書いた記事です。

      貴重なお話をありがとうございました。

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